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日本の低い仕事満足、「仕事への興味」や「能力の使われ方」で改善可能

富山大学学術研究部医学系疫学・健康政策学講座 立瀬剛志助教らのグループは、仕事満足の決定要因に関する国際比較研究を行った結果、1.英国と日本とで仕事満足に寄与する因子に大きな違いはなく、ストレス要因よりも「仕事への興味」や「能力の使われ方」といった仕事の動機づけ側面の方がより寄与度は高く、2.日本の仕事満足は仕事を動機づける個別要因の改善によって英国よりも良くなる可能性が示唆されました。また、3.低い職業階級における仕事の不満足についても、職務ストレスや仕事の動機づけ要因で改善することが分析から明らかになりました。

日本の仕事満足が世界的にも低く、2015年の世界的調査(ISSP)においても調査した37カ国中35位と先進国・発展途上国問わず悪い状況です。また労働損失には、病気による長期欠勤の6倍仕事への意欲低下が影響していることが分かっており、日本の仕事満足の低さは国民のメンタルヘルスだけでなく、労働生産力との問題とも深くかかわっています。今回の研究では、日英それぞれの公務員を比較し、仕事満足の決定要因は両国で違いはなく、「仕事への興味」や「能力の使われ方」といった仕事を動機づける個別要因の満足の違いが関連していたことが示されました。

英国・日本両国で仕事不満足に関連する寄与因子に違いがないことが分かったことから、同様の要因が両国の仕事満足の決定要因であり、また「仕事への興味」や「能力の使われ方」などの仕事を動機づける個別要因の満足によって、日本の仕事満足の低さを改善することが可能であると言えます。また、本研究は同質な調査票をそれぞれの集団に適応し、英国ロンドン大ホワイトホールⅡ研究と共同にて実施された国際比較研究の成果として発表されました。

この研究成果は科学専門雑誌「Journal Of Occupational and Environmental Medicine」に米国時間2021年8月6日(日本時刻:8月7日)に掲載されました。

プレスリリース[PDF, 392KB]