授業
明治時代の俳句をたずねて
人文学部
一言に文学研究といってもアプローチは様々です。私が専門とする近代俳句でも、句の解釈や鑑賞、評価はもちろん重要なのですが、それだけが研究のすべてというわけではありません。私の場合、主な研究対象は「俳句」というよりも「俳論」や「俳句雑誌」といった方が正確かもしれません。
特に重点的に研究しているのが、俳句が「文学」としての地位を確立した明治時代です。正岡子規は江戸時代からの流れを汲む俳諧宗匠らを批判し、俳句を「感情」に立脚した「文学」として価値づけるのに大きく貢献しました。そうした新たな俳句の流れは「新派」と評され、なかでも新聞『日本』で活躍した子規たちは日本派と呼ばれます。近代俳句の研究では子規ら著名な俳人の句や功績が注目されがちですが、特定の人物が無批判に尊重され続けるなかで、評価が一人歩きしていってしまいます。それらの人々は当時どのような文脈で発言していたのか、何を学んでいたのか、同時代にどう評価されたのか、そのことが後の別の俳論とどう関わるのか。私の研究はこうした疑問から出発しています。
人文学部
田部 知季 先生