平成31年度入学式 式辞

式辞

富山においても桜の花が咲き始め、春を感じる季節となりました。が、季節外れの雪が昨日、一昨日降りました。しかし、本日は晴天となり、新しい年号も「令和」と決まり、皆様の門出を祝ってくれています。本日、平成31年度入学式において、学部入学生1,876名、大学院入学生460名、総勢2,336名の皆さんを富山大学にお迎えしました。皆さん、ご入学おめでとうございます。また、これまで入学生を支えてこられたご家族の皆様に心よりお祝い申し上げます。ご来賓の皆様や本学ゆかりの皆様方におかれましては、ご臨席を賜り厚く御礼申し上げます。

学部入学生の皆さんは、大学入試という大きな壁を乗り超えた安堵と、新たな大学生活に対する期待と希望に胸を躍らせていることと思います。大学院に進学される皆さんは、更なる研究活動に向けて、決意を新たにされていることでしょう。富山大学は、それを心から歓迎するとともに、皆さんがこの富山大学で、未来への挑戦に向かって研鑽を積まれることを願っています。

はじめに、皆さんがこれから学ぶ富山大学についてご紹介します。 富山大学は、9学部及び附属病院や和漢医薬学総合研究所など11の教育・研究施設に、9,500名余の学生と2,500名余の教職員が集う全国有数の総合国立大学です。富山県における国立大学の歴史の原点は、現在の人間発達科学部の前身となる新川県師範学校が発足した1875年/明治8年に遡ります。1893年には、薬学部前身の共立富山薬学校が設置され、1900年代前半には、現在の人文・理学・経済・工学の各学部につながる各種学校が、そして1975年以降には、医薬学・芸術文化分野の新大学が設置されてきました。21世紀に入ってからは、国立大学改革・再編統合の動きが急速に進み、2005年、当時の富山県内3国立大学が統合し、現在の富山大学が誕生しています。 昨年の春、富山大学は、開学以来143年の歴史を経て、9番目の学部となる「都市デザイン学部」を開設いたしました。全学の力を結集し、「未来の街/社会を創造する」という従来の国立大学にはない視点で、新たな「知の創出」を目指す学部です。同時に、これまで3キャンパス別に行われていた学部1年生の教養教育を、すべて五福キャンパスで行う一元化を実現しています。今後、さらなる改革を進め、魅力あふれる、皆さんにとって、「おもしろい大学」をつくっていく所存です。

私は、この4月から富山大学の学長に就任いたしました。言うなれば私も皆さんと同じフレッシュマンです。皆さんの学生生活を支えることはもちろんですが、皆さんとともに、4年間成長していきたいと思っております。 皆さんへの期待を込めて、大学生活で心がけてほしいことを2点述べます。

一つは、高校までの「授業」と大学での「講義」の違いについてです。 授業は「業(なりわい)を授ける」と書くように、生きるために必要な最低限の知識を学ぶことを言い、人から与えられる受け身の要素が多いものだと考えます。 一方で講義について見てみます。「講」という字は、本来、仏教の講和を聴くために人々が集まる場という意味があり、転じて一堂に会するという意味を持っています。また、「義」という字は「羊」と「我」から成り立っていますが、古代中国において羊は人間の生活に欠かせない動物であったといいます。それゆえ、大きな羊が「美」という漢字の成り立ちにもなっています。つまり、「義」という字には我(自分)を美しくするという意味も込められていると考えます。皆さんには、大学での講義を通じ、教養を高め、能動的に自らの意志で自分を美しく高めてほしいと思います。 大学院に進学される皆さんは、教科書に載っていない事を明らかにするという、高度な学問を追及するという事になります。学部での学びを基に、研究に邁進して、諸君らの研究成果が、やがて新しい教科書に掲載されるようになってほしいと思います。研究とは未知への挑戦であり、とても大変ですが常に新しいことを追い求める気持ちを忘れないでください。

二つ目は、大学の中にだけ籠らず、いろいろなことにチャレンジしてほしいということです。 大学の春休み、夏休みは、高校までのそれと比べると、とても長いです。この期間を有意義に活用して、今しかできない貴重な経験をたくさん重ねてほしいと思います。海外留学、ボランティア、旅行、部活動、アルバイトなど、何でもよいのです。私は学生時代、ソフトテニスに勤しんでいましたが、仲間と共に切磋琢磨した時間は、とてもかけがえのないものでした。ただ漫然と時を過ごすのではなく、明確な目標を持って、貴重な時間を過ごしてください。

さて、大学を取り巻く国内外の環境は大きく変化しています。我が国では、超スマート社会Society5.0を目指して、情報をいかに短期間に系統的に活用し、社会に役立てるかを考える時代に入っています。また、これまでの長い歴史で積み上げてきた、文系や医薬系、理工系の学問が、一つの分野のみで成果を挙げることに限界を迎え、異分野が連携、融合した、今までになかった新しい学問を創造する時代になりました。 このような時代の変化に対応し、富山大学を発展させていくために、「ネットワーク」の形成が鍵となります。教員同士のネットワーク、地域とのネットワーク、海外とのネットワークを充実させていくことで、Society5.0時代に活躍できる人材を育成したいと考えています。

先ほど、学部1年生の教養教育を、すべて五福キャンパスで行うと述べましたが、皆さんにはぜひ他学部の学生と「ネットワーク」を築いてほしいと思っています。また、皆さんには教員とのネットワークも築いてほしいと思っています。つまり、講義内容や研究でわからないことがあれば、気軽に研究室に赴き、遠慮なく教員に質問してほしいのです。 大学生活は、一生の友人、また、一生の師ができる貴重な時間です。他学部の学生との交流、教員との交流によって、多彩な才能を認め合い、相互理解を深め、人間性を高めてください。

富山大学では、日本各地はもとより、アジアを中心に海外からの外国人留学生が学んでいます。本日の入学式にも、海外からの入学生が出席しています。留学生の皆さんには、日本の文化を学び、日本人の友人をたくさんつくってほしいと思います。そして、富山での学びを人生に活かしてほしいと思います。 簡単ではありますが、英語で歓迎の言葉を申し上げます。

Since we have international students here today, I would like to give a short congratulatory message in English.

First of all, as the president of the University of Toyama, I welcome you all and give my warmest congratulations.

I have just become the president of the University of Toyama, so I am also a freshman.

The origin of our university was established in 1875. After that, Toyama University, Toyama Medical and Pharmaceutical University and Takaoka National College were integrated in 2005.

Our university houses nine faculties, university hospital and Institute of Natural Medicine.

There are approximately 9,500 students including 320 international students studying at the university.

I would like to make our university to be “Omoshiroi”. Omoshiroi is a Japanese word which means interesting, enjoyable or amusing.

Through your campus life at this university, I would like for you to learn a lot, meet Japanese culture and find lifelong friends.

I wish to build a network between international students and Japanese students or professors.

And you will be able to have an enjoyable student life.

I sincerely hope, when you finally look back your time here later on, that you will appreciate and cherish all the experiences and memories you have gained.

I am sure you will have invaluable time here, and our staffs make effort to support you so that you will be able to learn a lot of things.

I hope you will have a very fulfilling school life in this beautiful city of Toyama.

Now I would like close my speech in Japanese.

富山県は、素晴らしい自然環境や農林水産資源、伝統ある歴史文化、卓越した産業活動力など、豊かさと幸せを感じることのできるところです。皆さんには富山大学で充実した悔いのない学生生活を送り、富山大学、富山県を大好きになってほしいと思います。我々教職員は全力で支援いたします。また、ご家族の皆様には、お子さんの自立性を尊重しつつ、成長を見守り、応援していただきたいと思います。

皆さんの学生生活が実り多いものとなることを祈念し、式辞といたします。

平成31年4月4日
富山大学長 齋藤 滋