令和2年度 入学生への学長メッセージ

初めに、県内の新型コロナウィルス感染拡大を受けて、入学式を中止せざるを得なくなりましたこと、誠に残念な気持ちでいっぱいです。入学式で式辞を述べることが、かないませんので、メッセージにて皆さんの門出を祝福するとともに、今後の本学での教育についてお話したいと思います。

皆さん、富山大学ご入学おめでとうございます。また、ご家族の皆様に対しても心よりお祝い申し上げます。これから、学部入学生1,869名、大学院入学生423名、総勢2,292名の皆さんが、富山大学での学びを始めることとなります。学部入学生の皆さんは、大学入試という大きな壁を乗り越えた安堵と、新たな大学生活に対する期待と希望に胸を躍らせていることと思います。富山大学は皆さんを心から歓迎するとともに、皆さんがこの富山大学で未来への挑戦に向かって研鑽を積まれることを願っています。

さて、皆さんがこれから学ぶ富山大学についてご紹介します。
富山大学は、9学部及び附属病院や和漢医薬学総合研究所など複数の教育・研究施設に、9,500名余の学生と2,500名余の教職員が集う全国有数の総合国立大学です。富山県における国立大学の歴史の原点は、現在の人間発達科学部の前身となる新川県師範学校が発足した1875年(明治8年)に遡ります。1893年には、薬学部前身の共立富山薬学校が設置され、1900年代前半には、現在の人文・理・経済・工学の各学部につながる各種学校が、そして1975年以降には、医薬学・芸術文化分野の新大学が設置されてきました。2005年、当時の富山県内3国立大学が統合し、現在の富山大学が誕生しています。

私は、昨年4月から富山大学の学長に就任いたしました。私の掲げたスローガンは“魅力溢れるおもしろい大学”です。本年度から、新しい情報社会で活躍できる人材を育てるため、データサイエンス教育を必須といたしました。また、文部科学省からもデータサイエンス教育の協力校に富山大学は指定されました。文系、理系を問わず、全ての学生を対象にそれぞれの分野に応じた実践的な数理・データサイエンス能力を身につけていただき、修了時には修了証書も発行いたしますので、就職にもきっと役に立つはずです。
また、新型コロナウィルス感染状況が一層深刻になり、授業については、ネットを活用した遠隔授業を行う予定です。詳細は、各学部のオリエンテーションなどで説明いたしますので、パソコン、ネット回線など十分に対応、準備していただきたいと思います。これもデータサイエンス教育の一環です。教員も初めての経験となりますが、何とかこの難局を皆さんと共に、乗り越えたいと思っています。

大学の講義は高校の授業と大きく変わります。授業は教師から生徒への一方的な教育ですが、大学での講義では、教員からの情報提供を基にグループ内で議論し、意見をまとめて発表するという課題解決型講義も含まれます。皆さんは面食らうかも知れませんが、このようなトレーニングは社会に出ると、とても役立ちますので、どうかチャレンジしてください。

学部1年生の教養教育は、五福キャンパスを主とし、行いますが、五福キャンパスでは9学部の1年生が一堂に集まります。皆さんにはぜひ他学部の学生と「ネットワーク」を築いてほしいと思っています。また、皆さんには教員とのネットワークも築いてほしいと思っています。つまり、講義内容や研究で分からないことがあれば、気軽に研究室に赴き、遠慮なく教員に質問してほしいです。
大学生活は、一生の友人、また、一生の師ができる貴重な時間です。他学部の学生との交流、教員との交流によって、多彩な才能を認め合い、相互理解を深め、人間性を高めてください。これからの皆さんの富山大学での成長を心から祈っています。どうか富山大学を「おもしろい大学」にするため、ともに頑張っていきましょう。

令和2年4月2日
富山大学長 齋藤 滋